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| 自 戒 |
「戒律」の「戒」という字の意味は、「悪いことが起こらないように注意を与えること。また、禁止する、さとす、いましめる」などということです。「訓戒を与える」などといいますと、教えさとしていましめることであり、「自戒」というと、自分で自分を戒めることとなります。また、戒を持（たも）つと書いて「持戒」というと、仏教でのいろいろないましめを堅く守ることですし、その反対は「破戒」、戒を破ることですね。
 もともと仏教で「戒律」という場合、「戒」とは規律を守ろうとする自発的な心のはたらきであり、「律」とは仏教の教団が定めた規律や罰則などの他律的な規範を意味しています。仏教の戒律では「五戒」というのが有名です。これは一般の信者のために制せられた「戒（いましめ）」で、一、殺生（せっしょう／生きものを殺すこと）。二、偸盗（ちゅうとう／偸（ぬす）むこと）。三、邪淫（じゃいん／邪（よこし）まな交わりをすること）。四、妄語（もうご／嘘をつくこと）。五、飲酒（おんじゅ／酒を飲むこと）。以上の五つの禁戒です。あの『源氏物語』の『若菜下』にもこの「五戒」という言葉がでてきます。
ところで京都一燈園の石川洋氏に次のような「自戒」の言葉があります。
○辛いことが多いのは、感謝をしないからだ
○苦しいことが多いのは、自分に甘えがあるからだ
○悲しいことが多いのは、自分のことしかわからないからだ
○心配することが多いのは、今をけんめいに生きていないからだ
○行きづまりが多いのは、自分が裸になれないからだ
辛いことや苦しいことがおこると、人は誰でも他人のせいにしたがります。でもその時に、感謝の気持ちや自分の努力が足りないのではないか、と自分を戒めてみる。また、悲しいことや心配ごとが多いとき、自分勝手のせいではないか、一生懸命に取り組んでいないからではないかと、自分をふりかえって反省してみる。それを石川氏は、「自分が裸になれないからだ」と言われていますが、この「自戒」は厳しいものとして私たちにも迫ってきます。
このように、各人がそれぞれに特色のある、自分だけの「自戒」をもっていてよいのではないでしょうか。大切なのは、何の「自戒」もない野ばなしの生活を顧みること。自分自身のための「自戒」のある生活をしているかどうか、ということではないでしょうか。 |
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