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失敗と成功と |
仏教では「過ぎたことを思いわずらうな」といって、過去のことにこだわりとらわれて、いつまでもくよくよするなと教えています。
人間誰しも失敗をします。失敗しない人間なんていませんね。仏さまや神さまではないのですから、大なり小なり、誰もがときに失敗をし、ときに間違いを犯して生きています。あの時どうしてあんなことをしてしまったのだろう…、何であの時ああしなかったのだろう…、ああしておけばよかったのに…と、さまざまに思いわずらうのが私たちの常ではないでしょうか。
そうすると、いつまでも失敗にとらわれている人と、失敗を早くのりこえられる人との差は、とても大きなものになりますが、果たしてその差はどこからくるのでしょうか。失敗したという過去の事実は同じなのですから、結局のところ、その事実をどう受けとめられるかという、ただその一点の違いだけなんですね。「心は主役、思いは脇役」などといいますが、思い煩う気持ちをリードする主役は、やはりあくまでも私たちの「心」なんです。「心」が主役なんです。
先日、一介の町工場を世界的な企業に成長させた、松下電気の創立者・松下幸之助氏が亡くなりましたが、氏が七十余年にわたる事業を振り返って語った談話の中に、「失敗しつつ成功し、成功しつつ失敗してきたのが、自分の人生のような気がします」という言葉がありました。失敗しても落ち込むだけでなく、成功してもウヌボレルだけでなく、いずれも謙虚にうけとめて、そこから学んでいくという姿勢と心がまえが大切である。松下氏はこう言っているのでしょうね。
人生とは常にチャレンジの連続、チャレンジの毎日ではないでしょうか。チャレンジしない人生ならともかく、チャレンジするところには成功もあり、また失敗もある。成功はさらなる次のチャレンジへの勉強、失敗は次のチャレンジへの栄養分。そのように受けとめられるかどうかが、生きていくうえでの分かれめになると思うのですが…。 |
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