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秋彼岸−仏さまの都合を先に− |
「暑さ寒さも彼岸まで」といいますが、大分しのぎやすくなって、本当に昔の人はいい言葉を残すなと、今さらながら感心します。
太陽が真東から昇って真西に沈む日。春は春分の日の三月二十一日(暦により二〇日の年もあります)、秋は秋分の日の九月二十三日のお中日をはさんで前後三日、あわせて一週間がお彼岸の期間です。
お彼岸は、今日ある自分を育んでくれた先祖に感謝して、先祖をうやまい亡くなった人々を偲ぶ行事です。お寺参りとお墓参りをし、お仏壇もいつもより念入りに掃除し、特にお線香を立てる香炉の灰などもきれいにして、すがすがしい気持ちで、明くる日からまたそれぞれの仕事に励んでほしいと思います。あるいは仕事が忙しくてお彼岸中にお墓参りに行けないという人もいるかも知れませんが、そういう人はお彼岸中でなくても、都合のつく日にぜひお墓参りをしてほしいと思います。
「心がけ」という言葉がありますが、先祖の霊に文字通り虹のような心をかけていただいて、自分の都合を少し我慢してでも、仏さまの都合を先にしてお墓参りをしていただく、そんな「心がけ」も大切です。
また、お墓も仏さまもまだ無い人は、「お彼岸」というのは「彼(か)の岸(むこう岸)」と書くように、本来は、こちら側の迷いの岸から、むこう側の悟りの岸をめざすための心の修行期間をいうわけですから、普段は忙しく自分を忘れた日々を過ごしていても、このお彼岸の期間中に、たとえささいなことであっても、自分を見つめ自分を磨くための何か一つの行動をおこしていただけば、すばらしいお彼岸となると思います。 |
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